- あらすじ
- 田舎の山中で暮らしていた少年ノールは、12歳の時に母親を病で失い天涯孤独の身となる。幼少の頃に亡くなった父親から聞かされていた冒険者の英雄譚に憧れていた彼は、母の遺した「あなたの望む生き方をして」という言葉を胸に、冒険者になるべく王都を訪れる。大人に混じって剣士の養成所で数か月の厳しい訓練を受けたノールだが、敵の攻撃を武器で弾く【パリイ】を覚えたのみで、最低限の剣士として認められる条件となる「有用スキル」を習得することはできず訓練終了を言い渡されてしまう。その後も戦士、狩人、盗賊、魔術師、僧侶と6つの職業(クラス)養成所全てで訓練を受けたノールだったが、いずれの職業でも有用スキルを発現することはなく、自身の才能の無さを痛感して山へと戻る。
- それでも身に着けたスキルが成長して新たなスキルを習得できる可能性を信じ、山中で毎日欠かさず【パリイ】の鍛錬を行ったノールだが、15年かけても新たなスキルは発現しなかった。ただし、その鍛錬の結果、彼の【パリイ】は木刀を一振りするだけで空中に吊るした千本の木を衝撃波で同時に弾けるまでになっていたが、ノール自身はその異常性に全く気付くことは無かった。
- 再び王都へやってきたノールは冒険者ギルドのギルドマスターに頼み込み、最低ランク冒険者であるEよりも更に下のFランクとして念願の冒険者デビューを果たす。一切の討伐依頼と街の外での採取依頼の受託禁止をされたFランクの仕事と言えば、水路のどぶさらいや土木現場の作業員といった街中での雑用のみだったが、ノールの誠実な人柄と真面目な仕事ぶりは多くの人からの感謝を得ており、「冒険者になって人の役に立ちたい」という夢をかなえたノールは自身の境遇に満足していた。
- そんなある日、迷宮そばで行われた土木作業を終えたノールは、迷宮内から助けを求める悲鳴を聞きつける。駆け付けたノールが見たのは巨大な斧を持って二本足で立つ牛が一人の少女を護る王都の衛兵たちを蹴散らす現場であった。全滅した衛兵の代わりに牛に立ち向かったノールは、その場で拾った衛兵の剣で【パリイ】を駆使し、牛の攻撃を跳ね返して自滅させることで勝利する。有用スキルを持たずとも少女を救えたことに満足しその場を立ち去ったノールだが、自分が戦った「暴れ牛」がSランク冒険者のパーティでも手こずるミノタウロスというモンスターであり、自分が救ったのがこの国の王女であるリンネブルク・クレイスであることには気づかなかった。そしてこれが彼の英雄譚の始まりだということも知る由が無かったのである。
- 俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜
- (おれはすべてをぱりいする ぎゃくかんちがいのせかいさいきょうはぼうけんしゃになりたい)
- 全12話
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